遺体の安置・葬儀社との打ち合わせ、通夜・葬儀など、故人が亡くなった後に遺族がやるべきことはたくさんあります。しかし、葬儀が終わっても必要な手続きは複数あります。本記事では、葬儀後に必要な手続きとして「料金の精算」「役所での諸手続き」「諸契約の解消」「遺産相続手続き」の4つに分けて解説するので、ぜひ参考にしてください。
葬儀後の清算手続き
葬儀が無事に終わった後には、葬儀にかかった費用の精算を行う必要があります。具体的には、葬儀代の支払いと、その支払いを証明する領収書の取得が主な手続きです。これらは単なる金銭のやり取りにとどまらず、後々の相続手続きにも関わる重要な事項となるため、注意して進めることが求められます。請求書に基づいて支払う
葬儀代の支払いは、通常、葬儀が終わってからおおよそ1週間前後で葬儀社から請求書が届き、それに基づいて行われます。ただし葬儀社によっては、葬儀当日に現金で支払う場合もあるため、事前に支払いのタイミングや方法を確認しておくことが大切です。特に現金での支払いが必要な場合は、手元に十分な資金を用意しておく必要があります。葬儀代を故人の預金口座から支払う場合の注意点
また、葬儀代を故人の預金口座から支払いたいと考える場合も少なくありません。しかし、故人が亡くなったことを銀行に伝えると、原則としてその口座は凍結され、相続手続きが完了するまで預金を引き出すことはできなくなります。そのため、葬儀代を口座から支払う場合には、相続手続きを踏まえた計画的な対応が必要です。さらに、故人の預金は相続財産にあたるため、相続人全員に葬儀代を引き出す旨を事前に伝え、了承を得ておくことも重要です。これにより、後日相続人間でトラブルが起こるリスクを避けることができます。
葬儀社から領収書を受け取る
葬儀代の支払いが完了した後は、必ず葬儀社から領収書を受け取ることが求められます。この領収書は、後日申請できる葬祭費や香典返しの精算などの手続きに必要となるため、紛失しないよう大切に保管しておくことが推奨されます。領収書の管理を怠ると、後の手続きでスムーズに費用の証明ができず、手間や時間を余計にかけることになりかねません。役所での故人の諸手続き
故人が亡くなった後、亡くなった日からおおよそ10日目を目安に、役所や年金事務所などで行う諸手続きが一度に集中します。法律上は、死後10日以内に手続きを行うものもありますが、前後の日程でまとめて行う場合もあるため、この時期を目安として準備するとよいでしょう。手続き先は主に、故人の本籍地の役所、住所地の役所、最寄りの年金事務所、最寄りの警察署の四か所です。それぞれの手続き内容を把握しておくことで、スムーズに進めることができます。
除籍謄本の取得
まず、故人の本籍地の役所では、除籍謄本の取得が必要です。除籍謄本とは、死亡の事実が記載された戸籍であり、今後の相続手続きや法定相続人の特定に不可欠な書類です。また、本籍地で取得できる戸籍謄本は、出生から死亡までの一連の戸籍や相続人全員の現在戸籍なども含まれる場合があります。これらも合わせて取得しておくことで、後の相続手続きで再度役所に出向く手間を減らせます。取得方法は、窓口で直接申請するか、郵送で請求する方法があります。銀行や金融機関に提出する際、戸籍謄本は返却されない場合もあるため、死亡記載のある除籍謄本は2〜3枚程度用意しておくと安心です。事前に必要書類や手続き方法を役所に確認しておくことも重要です。
住所地の役所での手続き
次に、故人の住所地の役所では、複数の窓口でそれぞれ異なる手続きを行う必要があります。戸籍・住民票担当窓口では住民票の除票を取得します。国民健康保険や後期高齢者医療保険担当では、健康保険証の返還、資格喪失届の提出、葬祭費や高額療養費の支給申請用紙の取得が行えます。介護保険担当窓口では介護保険証の返還や資格喪失届、還付金の申請などが必要です。さらに障がい者手帳を所持していた場合は、障がい担当窓口で返還や未払い手当の申請を行います。手続きには10日以内や14日以内といった期限が設定されているものもありますが、期限を過ぎたからといって罰則があるわけではありません。
ただし、放置すると給付金や還付金を受けられないなどの不利益が生じるため、忌引きなどで時間が取れるうちに手続きを済ませることが推奨されます。担当窓口が不明な場合でも、いずれかの窓口で相談すれば案内してもらえるため、順に手続きを進めることが可能です。
年金に関する手続き
さらに、最寄りの年金事務所では、年金に関する手続きを行います。具体的には、年金受給者死亡届の提出、未支給年金の請求、遺族年金の請求などです。故人が年金を受給していたかどうか、あるいは受給前であったかによって必要な手続きは異なるため、事前に年金事務所に電話で基礎年金番号やマイナンバーを伝え、必要書類や手順を確認しておくと手続きが円滑に進みます。実際の手続きは窓口で行う場合と郵送で行う場合がありますが、状況に応じて窓口で案内を受けながら進めるのが安心です。故人の運転免許証の返納
最後に、故人が運転免許証を所持していた場合は、最寄りの警察署に免許証を返還する手続きを行います。この際、死亡診断書のコピーを持参する必要があります。故人の諸契約の解消
役所や年金事務所での手続きを終えたら、次に公共料金や各種契約の解約・名義変更などの手続きを進める必要があります。これらの手続きは、過払い金や未払い金など金銭の支払いに関わるものも多いため、できるだけ早めに対応することが望ましいでしょう。法律上の厳密な期限は設けられていませんが、死亡からおおよそ2週目を目安に進めると、無理なく手続きを終えることが可能です。まず、諸契約の手続きを進めるにあたって重要なのは「解約」と「名義変更」のどちらの手続きを行うかを家族であらかじめ話し合っておくことです。判断がすぐにできない場合でも、まず契約先に故人の死亡を連絡し、不要な支払いが発生しないよう相談することをおすすめします。近年は多くの契約先でインターネットを通じた手続きも可能になっているため、事前にホームページで必要書類や手順を確認しておくと、手間を大幅に減らすことができます。
公共料金の手続き
公共料金については、電気、ガス、水道などが主な対象です。電気やガスの契約については、従来の会社以外で契約している場合もあるため、請求書や支払明細で契約先を確認することが大切です。手元に明細がない場合は、住所地に近い電力会社やガス会社に問い合わせて確認します。水道料金については、一般的に住所地の水道局に連絡して手続きを進めます。また、どの契約先も判断がつかない場合は、故人の口座引き落とし先を通帳で確認するとスムーズに把握できます。通信契約の解約
電話やインターネット、テレビなどの通信契約も同様に、契約先を確認したうえで死亡の連絡を行い、解約や名義変更の手続きを進めます。固定電話やインターネットのモデムやルーターなどがレンタル品の場合は、返却物や立ち合いが必要になることもあるため、契約会社に確認しておくことが重要です。誤って機器を廃棄してしまうと紛失料が請求される場合もあるため注意が必要です。死亡保険金の手続き
さらに、生命保険に加入していた場合は、死亡保険金の手続きも行います。保険契約の証券や契約内容通知には、契約者、被保険者、保険金受取人が記載されており、保険金受取人に指定された人が手続きを行います。受取人が指定されていない場合は、保険会社の規定に沿って受取人が決まり、その方が手続きを進める流れです。保険金請求後、実際に振り込まれるまでには2~3か月かかることもあるため、早めに手続きを行いましょう。連絡先は保険証券に記載されているもの、または代理店を通しての手続きになります。保険契約によっては、入院給付金の請求が可能な場合もありますが、これは本来故人自身が受け取るものであり、相続財産として扱われます。こうした点をあらかじめ理解しておくことで、契約関連の手続きも混乱なく進めることが可能です。